公証人役場での外国文書認証

最終更新日:2025年1月19日 行政書士 勝山 兼年
私文書にアポスティーユ、 領事認証を受けるには先ず公証人の認証が必要です。
公証人とは
契約書や離婚協議書、遺言書などを公正証書にすることで、私的紛争の予防を実現します。公正証書にする手続きを担うのが高度な法的知識と法律実務経験を有している公証人です。公証人は公務員であり、中立公正であり検察官や裁判官を経た多年法律事務に携わった者で構成されています。

私文書とは
国・地方公共団体や学校・公立病院などが発行した書類を公文書と呼ばれます。一方、個人が私的に交わした契約書や民間機関が発行した証明書や報告書など私文書と言います。外国語であっても同様です。
外国文認証とは
基本的に公文書には外務省が直接、公印確認・アポスティーユを付してくれます。一方、印鑑登録制度のない外国に私文書を提出する際は、書類の署名ががあるだけでは足らず、公的な認証を受けることを求められます。日本でこの認証を担っているのが公証人で、私文書にアポスティーユや領事認証を受けたい場合は、事前に公証人の認証を受ける必要があるのです。

外国向け文書認証手数料
外国文か日本語文で手数料が異なります。また、委任状は一般文書より2千円安くなっております。
文書の内容 | 公証人認証手数料 |
一般文書(日本語) | 5,500円 |
一般文書(外国語) | 11,500円 |
委任状(日本語) | 3,500円 |
委任状(外国語) | 9,500円 |
※本文が外国文であっても宣言書が日本語であれば日本語文扱いとなります。日本語と外国語交じりの文書は外国文として扱われます。
私文書の公証人認証手続き
自身で公証人役場に出向いて認証を受けるときは、認証を受けたい書類と本人確認ができる運転免許証などを持参してください。
代理人に依頼する場合は別途下記のものを用意してください。
依頼人が個人の場合
- 委任状
- 依頼人の印鑑証明書
- 代理人の本人確認書類
依頼人が法人の場合
- 委任状
- 法人の印鑑証明書
- 法人の会社登記簿謄本
- 代理人の本人確認書類
宣言書
公証人の私文書認証を受ける場合は、書類の署名(記名押印)者自身が認証を受ける場合は直接認証を受けることができます。しかし、署名(記名押印)者と認証を受ける者が異なる場合は直接書類に認証は受けられません。
例:勤務先会社が発行した在職証明書について発行元会社が認証を受けるのでしたら、直接認証を受けることができます。しかし、署名書に記載されている社員が認証を受ける場合は別途宣言書を作成して、宣言書と在職証明書とともに認証を受けることになるのです。
この場合の宣言書の内容は「添付の在職証明書が△△株式会社が社員○○対して発行されたものであることを宣言します。」となります。

翻訳文を認証する場合は
元の証明書が公文書であってもその翻訳文書については私文書となります。この場合は公証人認証では、元の公文書と翻訳文書、宣言書を一纏めにして認証を受けることになります。
この場合の宣言書の内容は「添付のものは××証明書とその中国語訳文に相違ないことを宣言します。」などとなります。

海外在住の方の領事認証、アポスティーユの前の公証人役場での認証取得代理について
海外在住の方で、私文書の公証人役場での認手続きを代理でする場合、委任状と印鑑証明書を添えて申請することになりますが、日本の住民登録を抹消している方は日本国籍、外国籍の方にかかわらず印鑑証明書は発行されません。そこで、日本国籍の方は在外公で署名証明書、外国籍の方はNOTARY PUBLIC OFFICEでサイン証明書の発行を受けて印鑑証明書の代わりとしてください。

私文書の公証人役場からの公印確認・アポスティーユ
私文書には外務省は直接公印確認・アポスティーユをいたしません。事前に公証人の認証を受けることになります。公証人役場では一部の都道府県ではワンストップサービスを実施7しており、公証人認証と同時に法務局公証人押印証明と外務省公印確認、アポスティーユがなされます。
公証役場でワンストップサービスが実施されていない場合
北海道(札幌法務局管区内)、宮城県、東京都、神奈川県、静岡県、愛知県、大阪府および福岡県にある公証役場ではワンストップサービスが実施されている場合は法務局公証人押印証明と外務省での手続きが短縮されます。
公証人役場での認証取得事例
- 委託書のアポスティーユ手続き
元中国籍で日本に帰化したWさんは、中国で所有していたマンションを売却することとなり、現地代理人に手続きを委託することになりました。代理人より売却手続きにあたって、代理人あての委託者Wさんの委託書を作成し、外務省のアポスティーユを付して提出するように求められました。
代理人が作成した委託書にMさんが署名しそれを大阪府内の公証人役場に持ち込み認証を受けました。ワンストップサービスを利用しましたので、同時に外務省のアポスティーユも付してもらいました。Mさんは委託書を中国の代理人に送付し、マンションの売却がなされました。
- 離婚届受理証明書の翻訳文のアポスティーユ手続き
黒龍江省在住で中国人のZさんは日本人との離婚歴がありました。この度、中国人と再婚することとなり、公安局派出処に自身の離婚に関する報告をしていなかった事に気づきました。そこで、日本の代理業者に依頼し自身の離婚届受理証明書の発行と中国語への翻訳、そして外務省アポスティーユを依頼しました。代行業者より公証処での署名声明公証書の発行を受け送付するよう頼まれました。
代理業者はZさんから送られた資料を受取り、離婚届時の役場で受理証明書の発行を受け、中国語にに翻訳しました。それらを携えて大阪府内の公証人役場に出向き、宣言書を表紙とする離婚届受理証明書と中国語翻訳文書を綴合せて、公証人認証を受けました。同時にワンストップサービスを利用しての外務省アポスティーユを得て、Zさんのもとに送りました。書類を受け取ったZさんは無事に離婚の報告を終え、再婚が叶いました。
- 法人代表者証明書のアポスティーユ手続き
自動車部品メーカーのF社は、中国で特許権侵害の裁判をするに当たり、代理人弁護士から弁護士あての受験委託書と法人代表者証明書に日本国外務省のアポスティーユを付して送るよう指示がありました。
F社担当者は代理人弁護士より送れれてきた書類にF社代表者の署名をして、外務省アポスティーユp点を業者に依頼しました。代理業者は大阪府内の公証人役場に出向き、公証人認証を受けました。同時にワンストップサービスを利用しての外務省アポスティーユを得て、F社に渡しました。F社は中国の代理人弁護士に送付し、裁判が開始されました。