中国での不動産売買にかかわる書類のアポスティーユ
最終更新日:2025年1月5日 行政書士 勝山 兼年
不動産売買手続きを代理してもらう際の委託書
日本在住の中国人(中国から帰化した日本国籍者も)が中国にある不動産を売却するなどする場合、中国人本人が中国に出向く必要があります。しかし、事情により渡航できない場合は代理人に手続きを代行してもらうことになります。その代理人に委任するにあたり委託書を作成し、日本在住者が委託者として署名して中国の受任者(代理人)に送ることになります。この委託書には日本国外務省のアポスティーユを付す必要があります。
注意点として委託期間の記載のない委託書には中国領事認証話されません。委託期間:2023年〇月◇日~2024年□月△日と記載することをお勧めします。
委託書は私文書ですので、日本国外務省は直接にはアポスティーユしてくれません。この場合は先ず、公証役場での認証をすることになるのです。
不動産の所有者が日本に帰化している場合
不動産の売却の委託書認証において、中国の機関から不動産の所有者が委託書の委託人であることの「房産証」の写しなどの証明書類の提出を求められます。不動産の所有者が中国籍から日本国籍に帰化している場合などでは不動産の名義人氏名が現在と異なることになります。同一人物である事証明するためのに帰化前の氏名が記載された戸籍謄本にもアポスティーユを受けることになります。
パスポートの写しの公証人認証
戸籍謄本以外にも、中国不動産の名義人と、帰化後の日本名の者が同一人物でるとの証明を求められます。中国籍時のパスポートと現在の日本国籍のパスポートのそれぞれの写しを重ね合わせ、かつ表紙に「別添書類のそれぞれのパスポートに記載されている人物は同一人であること宣言します。」などの文言の宣言書を添えて、公証人役場で認証を受ける事で証明することになります。
不動産売却のための委託書アポスティーユ取得事例
- 中国人が中国の不動産を売却
日本在住で永住者の中国籍Yさんは、中国上海市にマンションを所有していましたが、将来中国に帰国する意思も無く、現在、マンションを賃借りしている中国人がマンションを購入したいと言ってくれたため、その方に売却することになりました。上海市の不動産会社に売却手続きの仲介してもらうことになりました。仲介会社から、手続きの代理を行うに当たり、Yさんは委託者、仲介会社を受託者とする委託書がYさんに送られてきました。仲介会社からはYさんの署名と外務省のアポスティーユを付して送り返してほしいとのことでした。Yさんは公証人役場を訪れ、委託書に公証人認証を受けました。また、外務省にも出向きアポスティーユを付してもったうえで上海の仲介業者にb送付しました。仲介業者が手続きを済ませ、Yさんのマンションは無事にばくぃ客できました。
- 帰化した中国人が中国の不動産を売却
日本国籍者のAさんは元中国籍で5年前に夫婦で日本に帰化していました。遼寧省にマンションを所有していたAさんは売却を希望し中国の親族を通じて購入者を探してもらったところ、条件の合う購入者が現れたため、売却することになりました。手続きの代理人としてその親族になった貰うにあたり、Aさんは委託者、親族を受託者とする委託書を作成しました。Aさんは委託書に署名し、公証人役場と外務省でアポスティーユを済ませ親族に送付しましたが、署名書の名前とマンションの名義人の氏名が異なるとのことで、手続きは進みませんでした。そこで、Aさんがマンションの名義人と同一人物であることを証明するものとして、帰化前の氏名の記載のある戸籍謄本を取得し、改めて外務省を訪れ、アポスティーユを付してもらい、親族に送付しました。おかげで、無事、マンションの売却ができたとのことでした。