犯罪経歴証明書のアポスティーユ・領事認証
最終更新日:2025年1月5日 行政書士 勝山 兼年
外国で就業許可取得のために犯罪経歴証明書の提出を求められます。
中国やベトナムで働く際には現地外国人労働を監督する機関からのに就業許可“WORK PERMIT”が必要となります。許可取得の際に日本人にかかわる書類として犯罪経歴証明書または俗にいう無犯罪証明書の提出を求められ、その証明書には外務省アポスティーユを付すよう義務付けられています。
犯罪経歴証明書の発行元は住所地の都道府県警察本部です。厳格な証明書ですので代理申請は受け付けられず本人出頭が原則です。ただし、受取に関しては委任状があれば代理でもかまいません。
海外在住の方の発行方法
海外在住の方の場合は、日本に住民票がない方は海外移住の直前の住所都道府県警察本部となります。一時帰国して、警察本部に出頭して発行を受けるか、海外居住地の大使館・領事館などの在外公館でも発行の申請は可能です。在外公館の窓口に犯罪経歴証明書の発行申請しても発行者は都道府県警察本部となります。
犯罪経歴証明書に領事認証を受ける手順
犯罪経歴証明書の領事認証取得手続き流れ
◆本籍地役場で戸籍謄本を取得する。 | |
◆都道府県警察本部で証明書の発行を受ける。 | |
◆外務省にてアポスティーユを受ける。 |
犯罪経歴証明書に翻訳文を付けるには
犯罪経歴証明書は封筒に入れられた状態で渡され、開封厳禁です。外務省での公印確認の際も改めて密封されます。ですので翻訳するために内容を確認することはできません。提出先からの要請があったとしても翻訳はできないと伝えて問題ありません。尚、ベトナム総領事館では領事認証後に開封した状態で渡されます。それを翻訳するのはかまいません。犯罪経歴証明書のコピーと翻訳文に宣言書を添えて公証人認証をえて外務省公印確認、ベトナム領事認証の手順で行えば翻訳付き犯罪経歴証明書の領事認証は可能です。ただし、ベトナム領事館から返された犯罪経歴証明書の原本に翻訳文と宣言書を添えて認証することは公証人役場では受け付けてもらえません。結論として、犯罪経歴証明書の翻訳を付けての領事認証は現実的でなく断るのが良いでしょう。
犯罪経歴証明書の領事認証取得事例
- 中国からベトナムに転勤をすることになった。
香港のアパレル関連会社に勤める日本人Hさんは、江蘇省の縫製工場でマネージャーの仕事に就いていました。国際情勢の変化を感じ取った会社は製造拠点を中国からベトナムに移すことになりました。Hさんもベトナムの工場のマネージャーに就任することになりましたが、ベトナム国政府のワークパーミットを取得しなければなりませんでした。日本に一時帰国したHさんは、出身地の警察本部に出向き犯罪経歴証明書の発行を申請しました。受取は2週間後とのことでしたが、業務のため受取日まで日本に滞在はできませんでした。そこで、親族に犯罪経歴証明書の受取を頼み、また、外務省での公印確認とベトナム領事館での領事認証も親族にしてもらいました。親族から送られてきた犯罪経歴証明書をベトナムの労働局に提出し、Hさんは無事にベトナムのワークパーミットを取得しました。
- 台湾で勤務することになった。
日本人で医師のIさんは、台湾の病院に勤務することとなり、ワークパーミット取得のために勤務予定先病院から犯罪経歴証明書に台湾領事認証を受けて送付してほしいと指示を受けました。Iさんの住所地は京都府だったので、京都府警本部を訪れ犯罪経歴証明書の発行を受けました。その証明書を大阪の台北駐大阪経済文化弁事処に持ち込み領事認証も受けました。認証済みの犯罪経歴証明書を台湾の勤務予定先病院に送付し、しばらくしてIさんのワークパーミットが発行されたとの連絡がありました。