アポスティーユとは

最終更新日:2024年12月27日 行政書士 勝山 兼年
ハーグ条約とアポスティーユの解説!
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ハーグ条締結国間での書類の認証。
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外務省での手続き。
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実際の手続きの解説。
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ハーグ条約締約国一覧。
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発行元別の一覧。
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アポスティーユが必要な書類は提出先に確認!
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中国会社設立のために!
アポスティーユとは
1961年10月5日にのハーグ条約加盟国間で結ばれた外国公文書の認証を不要とする条約。

アポスティーユを取得すると日本にある大使館・総領事館の領事認証があるものと同等のものとして、提出先国で使用することができます。
公印確認とアポスティーユの違い
証明書の提出先国(ハーグ条約加盟国かそうでないか)の違いで、日本国外務省での手続きが異なるのです。
- アポスティーユ
ハーグ条約加盟国で外務省のアポスティーユ取得後はそのまま、その国の機関に提出できます。国際結婚などにおいて、相手国の結婚登録機関がそのまま受け付けてくれるのです。
- 公印確認
ハーグ条約加盟国外で、外務省での公印確認取得後にその国の在日本の大使館、総領事館にて領事認証を受けなければなりません。中国やベトナムなど外務省公印確認後に領事認証を取得しなければ証明書は受け付けてもらえません。
アポスティーユの取得プロセス
アポスティーユ申請の窓口は日本国政府外務省です。実務的には東京の本省と大阪分室に出向くか郵送申請することになります。
公文書の場合はアポスティーユを受けたい証明書類を提出し、数日後にアポスティーユを付した書類を受け取ることになります。
- 外務本省(東京)
所在地:〒100-8919 東京都千代田区霞が関2-2-1 外務省南庁舎1階
外務省領事局領事サービスセンター 証明班。- 大阪分室
〒540-0008 大阪府大阪市中央区大手前4-1-76
外務省大阪分室証明班

一方、私文書の場合は外務省は直接アポスティーユをしてくれません。事前に公証役場での認証を受ける必要があります。定められた都道府県の公証役場によっては公証人認証と外務省アポスティーユを一括で申請を受け付けてくれるワンストップサービスで対応してくれます。
- ワンストップサービスで対応してくれる都道府県
北海道(札幌法務局管区内)、宮城県、東京都、神奈川県、静岡県、愛知県、大阪府および福岡県

所要時間と費用は
外務省(公文書)
窓口では受付けた日から4営業日後に受取り可能です。郵送申請の場合も同様ですが、書留と普通郵便では窓口で受取り日が変わるのでお急ぎの方は書留やレターパックプラスをお勧めします。手数料などの費用は発生しません。
公証役場(私文書)
当日、ワンストップサービスにて公証人認証及びアポスティーユがなされ完了します。公証人手数料が発生しますが、日本語文書で5,500円、外国語文書で11,500円です。尚、委任状、委託書の場合はそれぞれ35,00円、95,00円となります。
【種類】 | 【私文書(公証役場)】 |
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日本語文書(委任状以外) | 5,500円 |
外国語文書(委任状以外) | 11,500円 |
日本語文書(委任状) | 3,500円 |
外国語文書(委任状) | 9,500円 |

アポスティーユ取得が必要な国
ハーグ条約締約国一覧(令和6年5月24日現在)
- ア行
アイスランド Iceland、アイルランド Ireland、アゼルバイジャン Republic of Azerbaijan、アメリカ合衆国 United States of America、アルゼンチン Argentina、アルバニア Albania、アルメニア Armenia、アンティグア・バーブーダ Antigua and Barbuda、アンドラ Andorra、イギリス(英国) United Kingdom、イスラエル Israel、イタリア Italy、インド India、インドネシア Indonesia、ウクライナ Ukraine、ウルグアイ Uruguay、ウズベキスタン Republic of Uzbekistan、エクアドル Republic of Ecuador、エストニア Estonia、エスワティニ(旧スワジランド) Eswatini、エルサルバドル El Salvador、オーストラリア Australia、オーストリア Austria、オマーン Oman、オランダ
- カ行
カーボベルデ Cabo Verde、ガイアナ Guyana、カザフスタン Kazakhstan、カナダ Canada、北マケドニア North Macedonia、キプロス Cyprus、ギリシャ Greece、キルギス Kyrgyz Republic、グアテマラ Guatemala、クック諸島 Cook Islands グレナダ Grenada、クロアチア Croatia、コスタリカ Costa Rica、コソボ Kosovo、コロンビア Colombia
- サ行
サウジアラビア Saudi Arabia、サモア Samoa、サンマリノ San Marino、サントメ・プリンシペ Sao Tome and Principe、ジャマイカ Jamaica、ジョージア Georgia、シンガポール Singapore、スイス Switzerland、スウェーデン Sweden、スペイン Spain、スリナム Suriname、スロバキア Slovakia、スロベニア Slovenia、セーシェル Seychelles、セネガル Senegal、セルビア Serbia、セントクリストファー・ネービス Saint Christopher and Nevis、セントビンセント Saint Vincent、セントルシア Saint Lucia
- タ行
大韓民国 Korea、タジキスタン Tajikistan、チェコ Czech Republic、中華人民共和国 People‘s Republic of China、 チュニジア Tunisia、チリ Chile、デンマーク Denmark、ドイツ Germany、ドミニカ共和国 Dominican Republic、ドミニカ国 Dominica (Commonwealth of Dominica)、トリニダート・トバゴ Trinidad and Tobago、トルコ Turkey、トンガ Tonga
- ナ行
ナミビア Namibia、ニウエ Niue、ニカラグア Nicaragua、日本 Japan、ニュージーランド New Zealand、ノルウェー Norway
- ハ行
パキスタン Pakistan、バーレーン Bahrain、バヌアツ Vanuatu、パナマ Panamas、バハマ Bahamas、パラオ Palau パラグアイ Paraguay、バルバドス Barbados、ハンガリー Hungary、フィジー Fiji、フィリピン Philippines、フィンランド Finland、ブラジル Brazil、フランス France、ブルガリア Bulgaria、ブルネイ Brunei、ブルンジ Burundi、ベネズエラ Venezuela、ベラルーシ Belarus、ベリーズ Belize、ペルー Peru、ベルギー Belgium、ボスニア・ヘルツェゴビナ Bosnia and Herzegovina、ボツワナ Botswana、ポーランド Poland、ボリビア Bolivia、ポルトガル Portugal、香港特別行政区 Hong Kong、ホンジュラス Honduras
- マ行
マーシャル諸島 Marshall Islands、マカオ特別行政区 Macao、マラウイ Malawi、マルタ Malta、南アフリカ共和国 South Africa、メキシコ Mexico、モーリシャス Mauritius、モナコ Monaco、モルドバ Moldova、モロッコ Morocco、モンゴル Mongolia、モンテネグロ Montenegro
- ラ行
ラトビア Latvia、リトアニア Lithuania、リヒテンシュタイン Liechtenstein、リベリア Liberia、ルクセンブルク Luxembourg、ルーマニア Romania、ルワンダ Rwanda、レソト Lesotho、ロシア Russia

アポスティーユ取得が可能な書類の種類
市町村役場発行
戸籍謄本、戸籍抄本、除籍謄本、住民票、婚姻届受理証明書、出生届受理証明書、死亡届受理証明書、離婚届受理証明書、課税証明書、非課税証明書、納税証明書、印鑑証明書、独身証明書
法務局発行(法人関係)
履歴事項全部証明書、履歴事項一部証明書、現在事項全部証明書、現在事項一部証明書、代表者事項証明書、閉鎖事項全部証明書、閉鎖事項一部証明書
法務局発行(身分関係)
婚姻要件具備証明書、婚姻届記載事項証明書、出生届記載事項証明書、死亡届記載事項証明書、離婚届記載事項証明書
農林水産省
自由販売証明書
厚生労働省
自由販売証明書
都道府県警察署
犯罪経歴証明書
学校関係
卒業証明書、成績証明書、単位修得証明書
その他
パスポートの写し、運転免許証の写し、健康診断証明書、年金証書の写し、会社定款の写し、確定申告書の写し、源泉徴収票、委任状、原産地証明書
アポスティーユ取得の際の注意点
アポスティーユ取得について公文書、私文書に関わらず正しい手順を経ればアポスティーユはなされます。ただ、目的に応じた提出物が何なのかは外務省、公証役場では判断してくれません。提出先国の機関に確認することをお勧めします。また、私文書などは文章の内容について公証役場では内容の確認はしてくれません。提出先での効力に問題があっても認証及びアポスティーユ申請手続きに瑕疵が無ければ内容に関係なくアポスティーユはなされます。

アポスティーユを受け付けられない書類
下記の書類は外務省でのアポスティーユが受け付けられません。
- ハーグ条約締結国でない国に提出するもの
ハーグ条約締結国でない国の場合は、提出国領事認証が必要です。外務省での手続きはアポスティーユではなく公印確認となります。
- 発行日から三か月以上経過したもの
公文書の発行日や公証役場での認証日から三か月以上経過したものは、有効期限外となるのです。

- ホッチキスを外した跡があるもの
戸籍謄本、履歴事項証明書などは複数枚をホッチキス留めして一通の証明書としております。ホッチキスを外すと証明書の一体性が失われ無効とされるのです。

- 地方法務局長の公証人押印証明のないもの
ワンストップサービスのない都道府県(北海道(札幌法務局管区内)、宮城県、東京都、神奈川県、静岡県、愛知県、大阪府および福岡県)の公証役場では、公証人認証後に公証人役場を管轄する法務局での公証人押印証明を別途取得しなくてはならないのです。

アポスティーユが必要な事例
- 外国で就業するための労働許可証(ワークパーミット)取得のため・・・犯罪経歴証明書、卒業証明書
- 外国での会社資本参加、法人設立のため・・・法人履歴事項全部証明書、法定代表人証明
- 外国での不動産取引のため・・・委託書、パスポート写し
- 外国人との結婚・離婚手続きのため・・・婚姻要件具備証明書、離婚届受理証明書
- 日本製商品の輸出販売・・・自由販売証明書
